「セキュリティソフトはもう要らない」——そんな言葉にドキッとしたことはありませんか?
確かにWindows DefenderやmacOSの仕組みは日々賢くなり、昔ほど手間をかけずにパソコンを守ってくれます。
それでもUSB一本で社内ネットワークが止まったり、ネットショッピング中にカード情報が抜かれたりする事故はあとを絶ちません。
標準機能で防げる範囲と、もう一枚の盾が必要な場面。その境目を見極めるには、いまどきの脅威と最新の防御策をセットで知るのが近道です。
本記事では“ソフトなし”のメリットと落とし穴を整理しつつ、軽くて頼れる定番3製品も紹介します。読み終えたころには、自分のパソコンに必要な防御ラインがすっと決まるはずです!
セキュリティソフトがいらないと言われる理由

- Windows Defenderで十分なことが増えた
- macOSはアプリをサンドボックスで動かす
- OSアップデートがすばやくなった
- ブラウザが危険サイトをブロック
- クラウドサービス側でウイルスチェック
- ネットの使い方が上手になった
Windows Defenderで十分なことが増えた

最新のWindowsには「Windows Defender」という守りのしくみが最初から入っています。
お金を払って買うソフトに近いレベルでウイルスを見つけるので、ふだん使いならこれだけで大丈夫という声が増えました。パソコンを買った直後から自動で働くため、追加ソフトを入れる手間もかかりません。
スキャンはバックグラウンドで行われ、レポートを書いたり動画を見たりしていても動作が重くなりにくいのが助かります。危険なファイルを開こうとすると大きな警告が表示されるので、初心者でも「これは危ない」とすぐ気づけます。見つけたウイルスは自動隔離されるため、難しい操作を覚えなくても安全を保てます。定義ファイルも自動更新されるため、ほったらかしでも新しいウイルスに対応できます。
macOSはアプリをサンドボックスで動かす

Macではアプリごとに小さな箱(サンドボックス)の中で動かします。もし悪い動きをしても箱の外に広がりにくい仕組みです。知らないアプリを開こうとすると「このアプリは安全?」と聞いてくれるGatekeeperもあるので、うっかり実行する事故が減ります。
さらに、macOSにはXProtectという簡易ウイルスチェッカーが標準で備わっており、古いマルウェアを見つけたら自動でブロックします。Appleから新しい危険リストが定期的に届くため、更新を忘れても安心です。大切なシステムファイルは書き込みを制限した領域に置かれていて、もしアプリが壊れてもOS全体が動かなくなることはめったにありません。Time Machineというバックアップ機能をオンにしておけば、写真やレポートが消えても好きな日時に戻すだけで復旧できます。
このように箱で囲む仕組み、実行前のチェック、バックアップの三重ガードがそろっているため、Macユーザーは追加ソフトを入れなくても安全に使いやすいと言われています。
OSアップデートがすばやくなった

WindowsやMacは、見つかった穴をふさぐ更新プログラムをすぐに配布します。
通知が表示されてもクリックは不要で、数分待つだけでダウンロードとインストールが進みます。
再起動のタイミングも授業や会議の予定を見て自動でずらすため、作業を中断せずに済むことがほとんどです。
今はネットにつないでいるだけで勝手に更新されるので、ユーザーが「アップデート」を探し回る手間はありません。更新はバックグラウンドで動くので動画視聴やゲームプレイ中でも速度低下が目立ちにくいです。
気づいたら最新の状態になっているため、古い脆弱性をつかれる心配が減ります。さらにドライバーやプリンター用ソフトもまとめて更新されるので、周辺機器からの侵入経路も同時にふさげます。
ブラウザが危険サイトをブロック

ChromeやEdgeなどのブラウザは、怪しいサイトに行こうとすると大きな赤い警告画面で「危険!」と教えてくれます。ここで戻るボタンを押せばウイルスをもらわずに済むので安心です。
ファイルをダウンロードするときも、まず裏でウイルス一覧と照合して安全かどうか確かめます。メールに貼られたリンクも同じしくみで調べるため、偽サイトに飛ばされる前に止めてくれます。多くのブラウザはタブごとに処理を分けており、もし1つのタブが悪いコードに触れても他のタブやパソコン全体に広がりにくい設計です。
また、Googleの「セーフブラウジング」リストのように世界中から集まる最新の危険URL情報が毎日自動で追加されるので、利用者は何もしなくても保護レベルが上がります。広告ブロッカーやパスワード管理拡張などを入れれば、追跡型広告やフィッシング詐欺もさらに減らせます。
ほとんどのウイルスはネット経由でやって来るため、ブラウザでここまでブロックできれば被害はぐっと減ります。
クラウドサービス側でウイルスチェック

GmailやOneDriveのようなオンラインサービスは、受信したメールやアップロードしたファイルをサーバーで丸ごとスキャンしています。
ウイルスが混じっていたり危険なリンクが含まれていた場合は、自動で隔離フォルダーに移動されるか、そもそも配信されません。
そのためパソコンに届く前に問題が解決し、ユーザーは特に操作しなくても安全が保たれます。最近はAIがファイル名や本文の言い回しまでチェックして、巧妙なフィッシング詐欺も見抜く精度が上がりました。共有リンクを発行するときもリアルタイムに再検査が行われるので、友達や同僚にウイルスを渡してしまうリスクもぐっと減ります。
ネットの使い方が上手になった

パスワードを使い回さない、二段階認証を設定するといった基本が広がりました。SNSや動画サイトでも「強いパスワードを作ろう」という通知が出るようになり、若い世代ほど自然に守れる場面が増えています。最近はパスワード管理アプリを使う学生も多く、覚える負担を減らしつつ安全を底上げしています。
会社でも「すべてを信用しない」ゼロトラストという考え方が当たり前になり、社外ネットワークからのアクセスは本人確認と端末チェックを二重で行う仕組みが一般的になりました。また、チャットツールやメールサービスがURLを自動スキャンして警告を出す機能を標準搭載したことで、怪しいリンクを踏む前に立ち止まる機会が増えています。
さらに、自治体や大学が公開する無料のセキュリティ講座や動画がネット上にそろい、専門知識がなくても短時間で学べる環境が整いました。USBメモリを挿す前にスキャンするといった小さな習慣も定着し、こうした行動そのものが大きな防御壁になります。
いらないと言われても、それでもセキュリティソフトを入れたほうがいい場面

いろいろなファイルをやり取りする仕事

印刷会社やデザイン事務所、動画編集スタジオなどクリエイティブ系の現場では、クライアントや外注先からUSBメモリや外付けHDDで受け取ったデータをそのまま開く機会が非常に多いです。Officeファイルに仕込まれたマクロウイルスや、拡張子を偽装した実行ファイルが紛れ込んでいても見た目では判断できません。
制作途中のPDFや高解像度画像を何度も差し替えるフローでは、急いで確認したいあまりにウイルスチェックをスキップしがちです。そこで、ファイルをコピーした瞬間にバックグラウンドで検査し、異常な動きを検知したら即座に隔離してくれる振る舞い検知型のセキュリティソフトが強い味方になります。
最近はAIベースで未知のマルウェアを見分ける製品も増え、メール添付のZipやクラウドリンク経由のダウンロードもまとめてチェックしてくれるため、人手のチェック忘れを大幅に減らせます。共有フォルダー全体をリアルタイム監視対象に設定しておけば、社内の別のパソコンに感染が広がる前に食い止められるので安心です。
古いOSを使い続ける必要があるとき

業務用ソフトや特殊な機械のドライバーの都合で、いまもWindows 8.1やそれ以前のOSを動かしている企業や研究室は少なくありません。こうした古いOSはすでにMicrosoftのサポートが終了しており、毎月のセキュリティ更新プログラムも届きません。そのまま放置すると、新しく見つかった弱点が穴のまま残り続け、ネットに接続した瞬間に攻撃を受けるリスクがあります。
そこで頼りになるのが、外側からシールドのように守ってくれる総合セキュリティソフトです。最近の製品は古いOS向けにも軽量版エンジンを提供しており、仮想パッチと呼ばれるしくみでOSの穴を一時的にふさいでくれます。さらに双方向ファイアウォールをオンにしておけば、不要な通信を遮断し、侵入されても社内の別PCへ広がるのを防げます。
どうしてもアップグレードできない場合は、セキュリティソフトに加えて日常的なネット利用を制限したり、USBメモリを差すたびに自動スキャンを実行するなど多重の対策を取ることで安心度が高まります。
家族で共用しているパソコン

子どもがアニメやゲームを探しているうちに、うっかり怪しいサイトへ飛んでしまうことが少なくありません。広告バナーをクリックしただけで不要ソフトを入れさせるページもあり、知らないうちにマルウェアを拾う危険があります。こうしたリスクを下げるには、閲覧制限や利用時間を細かく設定できるセキュリティソフトを導入しておくのが効果的です。
多くの製品は「学習用サイトだけ許可」「夜10時以降はSNSをブロック」など柔軟なルールをワンクリックで作れます。保護者のスマホにアラートを飛ばす機能もあるため、親の目が届かない時間帯でも怪しい操作をすぐ把握でき安心です。
オフラインで使う産業用PC

工場の機械を動かすPCは安全のためネットにつながないことがあります。インターネットに出られないとクラウド型の防御や自動アップデートが使えないので、ウイルス定義をローカルで更新できるスタンドアロン型ソフトが欠かせません。さらに、USBメモリ経由の侵入を防ぐためにメディアを挿した瞬間に即時スキャンする機能をオンにしておくと安心です。
産業設備は24時間止められないケースが多く、感染によるライン停止は大きな損失につながります。そのため、未知の脅威を振る舞いで検知してネット接続なしで隔離できる軽量エンジンを選ぶと良いでしょう。ログをローカルに保存し、管理者が定期的にチェックできる設計なら、中央サーバーがなくても運用できます。
個人情報をたくさん扱うフリーランス

顧客名簿や契約書、請求書など人の情報が詰まったファイルをパソコンに保存しているフリーランスは、データが流出すると仕事の信頼と損害賠償の両方を背負うことになります。たとえばネットショップ運営者は配送先の住所・電話番号を、写真や動画のクリエイターはモデルの身元情報を、ライターは取材メモや原稿を抱えているケースが多く、扱うデータの幅も深さも想像以上です。
こうしたリスクを減らすには、ウイルスを防ぐだけでなく「ファイル暗号化」「自動クラウドバックアップ」「完全削除ツール」がそろった総合セキュリティソフトを選ぶと安心です。ノートPCを置き忘れてもディスクがフルに暗号化されていれば中身をのぞかれる心配はほぼありません。一定時間おきにバックアップを取る設定にしておけば、ランサムウェアにロックされても直前の安全な状態に戻せます。
最近の製品はダッシュボードで暗号化率やバックアップの更新日時、不正アクセスの試行回数をひと目で確認できるため、専門知識がなくても状況を把握しやすいです。サイバー保険とセットで割引されるフリーランス向けプランも増えているので、年間コストを抑えたい場合はチェックしておくと良いでしょう。
ブロックされた数を数字で見たい人

「本当に守られているの?」と不安な人は、ブロックしたウイルスの数や遮断した危険サイトの件数をグラフで可視化してくれるソフトを選ぶと安心感が高まります。
リアルタイムで増える数字をダッシュボードで確認できるため、防御が機能していることを肌で感じられます。さらに週次や月次のレポートをPDFで自動送信する機能があれば、家族やチームメンバーとも状況を共有しやすく、セキュリティ意識の向上につながります。
セキュリティソフトはいらないと言われる時代に残るおすすめソフト3選

Norton

検出率が高く、クラウドバックアップ(PCの場合50GB)やパスワード管理も付いている定番ソフト。ウイルス対策に加えてウェブカメラ保護、フィッシング詐欺ブロック、迷惑メールのフィルタリングも行います。ネットショッピング時にカード情報を盗まれるリスクを下げる「Safe Web」機能が付いているため、日常の買い物やネットバンキングも安心です。
1本でWindows、macOS、Android、iPhone/iPadをまとめて守れるので、ノートPCとスマホを両方持つ学生や家族全員で端末が多い家庭向きです。さらにVPN機能をオンにすればフリーWi‑Fi利用時の盗聴を防げるため、カフェや大学のキャンパスでレポートを書くときも便利です。
操作はダッシュボード中央の大きなボタンを押すだけとシンプルで、定期スキャンの結果は緑・黄・赤の色付きで表示されるため、初心者でも現在の安全度をひと目で把握できます。
ウイルスバスター

フィッシング詐欺に強く、日本語サポートが手厚いのが特徴。画面の指示に従うだけでセットアップできるため、初めての人でも扱いやすいです。
AIによるクラウド型脅威検知を採用しており、URLが生成されて数分以内の新種フィッシングサイトも即ブロックします。さらにランサムウェア対策「フォルダーシールド」が、大事な写真やレポートを勝手に暗号化しようとする動きを止めてくれるので安心です。
3台版・5台版などライセンス体系が豊富で、Windows・Mac・Android・iOSまでまとめて守れるのもポイント。保護者向けのペアレンタルコントロールやSNSプライバシー設定チェックも付いているため、家族共有のパソコンやスマホにも向いています。
ESET

動作が軽く、古いパソコンでもサクサク動きます。価格も手ごろでランサムウェア対策や迷惑メールブロックなど一通りそろっています。
ESET独自のNOD32エンジンは無駄なプロセスを抑えているため、CPU使用率が低く動画編集やゲームプレイ中でもパフォーマンスが落ちにくいのが魅力です。
バンキング & ペイメント保護ブラウザがネットバンキングやフリマアプリの決済画面を自動検出して専用ウインドウに切り替え、キー入力を暗号化します。USBや外付けHDDを挿した際の自動スキャンやUEFIブート領域のチェックも行うため、ハードウェア層のマルウェア対策も抜かりありません。
1ライセンスでWindows・macOS・Linuxを選べるマルチプラットフォーム仕様なので、自作PCとサブのLinuxノートを併用するユーザーにもぴったりです。
まとめ:パソコンにセキュリティソフトは本当にいらない?
- Windows Defenderは標準で高い検出力があり、基本的なウイルス対策が可能。
- macOSはアプリごとの制限と自動ブロック機能で安全性が高い。
- OSの自動アップデートで脆弱性の多くは即座に修正される。
- ブラウザが危険サイトを自動で遮断し、多くの攻撃を未然に防ぐ。
- Gmailやクラウドサービスがサーバー側でウイルスをブロックしてくれる。
- パスワード管理や2段階認証の普及で個人の防御力も上がっている。
- 外部ファイルを多く扱う職種では追加のウイルス検知が有効。
- 古いOSを使い続ける場合は外部ソフトでの補強が必要。
- 家族で使うPCには閲覧制限や見守り機能付きソフトが便利。
- 信頼できるセキュリティソフト(Norton・ウイルスバスター・ESET)も選択肢に。